時計
僕の名前は田仲太郎、小学生だ。
ある日お婆ちゃんからもらった昔の時計を弄くっていたら魔神がでてきた。
「君の願いを叶えてやろう。ただし対価として時間を頂く。」
願いを叶えてくれる。
そう聞いて僕は少し迷ってから願いを言った。
「同じクラスの○○ちゃんと付き合いたい!」
「よかろう。願いは叶える。」
すると辺り一面が真っ暗になり、意識が消える。
ふと意識が戻ると僕の体は大きくなっていた。
「太郎、おはよ!」
道の向こうから○○ちゃんが走ってくる。
「○○ちゃん?お、おはよ」
「なんでちゃんづけなのよ」
そういい○○ちゃんは微笑む
「もう付き合ったんだから呼び捨てでいいよ!」
なんてことだ、本当に願いが叶っていた。
そしてどうやら僕は中学生になってるらしい。
対価として時間を頂くっていうのは少し時間が進むって事かな?
とりあえず僕は○○ちゃんと学校へ向かう。
しかし参った。中学生の勉強はすごく難しい。
知識は少しあるみたいだがあまりついていけてない。
僕は家に帰りまた時計をいじくった。
そして魔神がでてくる。
「君の願いを叶えてやろう。ただし対価として時間を頂く。」
決まり文句なのだろう。
「頭をよくしてほしい!」
「よかろう。願いは叶える。」
また辺りが真っ暗になる。
次に目が覚めると更に体は大きくなっていた。
どうやら大学生になったらしい。
そして中学の問題集を再び解いてみる。
「解ける!解けるぞ!」
願いはちゃんと叶ったらしい。
すると知らない男が話しかけてきた。
「太郎~、勉強なんかしてないで遊びにいこうぜ」
「う、うん」
友人かな?
願いが叶うまでの経路を知らない僕は分からないことが多い。
とりあえず友人らしき人物に連れられゲーセンに着いた。
のはいいのだが、
財布にお金がない。
今から遊ぼうというのに、ここではお金がないとただ見とくだけしか出来ないのだ。
友人らしき人物が格闘ゲームに夢中になっている隙に僕は家に戻り時計をいじった。
「君の願いを叶えてやろう。ただし時」
「お金がほしい!!」
「...よかろう。願いは叶える。」
再び目の前が真っ暗に、そろそろこの現象にも慣れてしまった。
目を覚まして直ぐに財布の中身を確認する。
万冊が何枚かとクレジットカードまで入ってる。
ゲーセンで遊ぶには申し分ないどころかほぼ余ってしまうだろう。
「よし、遊びにいこう!」
立ち上がろうとすると腰に激痛が走った。
どうやら老人になるまで時間を取られたらしい。
「いてて、これじゃあどこにもいけないや。」
地面を這いながらもなんとか時計の前まできた。
少し上にあげただけで震えてしまう腕を使いなんとか魔神を呼ぶ。
「君の願いを叶えてやろう。ただし対価として時間を頂く」
「若返らせてくれ!」
これで安心だ、目の前が真っ暗になる前に力が抜けて目を閉じる。
そして太郎が次に目を開くと...
「おぎゃー!」
「岡本さん、出てきました。男の子ですよ」
「まあかわいい。もう名前は決めてあるの」
その頃、
一人の命が生まれる瞬間を遠い空の上から見ている魔神がいた。
「人間はバカだねぇ、私は時間を進めることしか出来ないのに。」