【四コマ】後編

『【四コマ】前編 -』 21. 22. 23. 24. 25. 26. 27. 28. 29. 30. 31. 32. 33. 34. 35. 36. 37. 38.39. 40.

唯己論

ビジネス街にある、一面ガラス張りの小さなバーで、ブレット・マッケンジーはギムレットをあおっていた。外をみやると、間断なく降り続ける霧雨のせいか、はたまた酒のせいか、街の景色は朦朧としている。 ——ドアベルを鳴らし、一人の男がバーを訪れた。その…

【四コマ】前編

『【四コマ】後編 -』1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11.12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20.

【短編】異星人愛者の思し召し

点々と光る恒星達の隙間を埋める無の空間で、一機の小さな宇宙船が、光をも置き去りにして泳いでいた。前方300光年先にある惑星を、レーダーが感知した事に気づき、名だけの船長であるホン・ポリスはゆっくりと宇宙船のスピードを下げていく。サイドの窓から…

死が狂気を分かつまで

何の変哲もない狂気。オリバー・ジョーンズがソーセージを食いかじる横で、婚約者であるスーザンは死肉を貪っている。狂った奇異が日常にある現状に、“カオス”という言葉が脳裏に浮かんだが、何一つ常識的な物がないこの社会では、ある意味、秩序は保たれて…

ドリーム・シェアリング

“ドリーム・シェアリング”の看板の下に、5坪程の小さな店が佇んでいた。夢の共有──なんとも胡散臭い商売だ。最近SNSで噂に挙がっていたので、(もしかすると僕の悩みを取り除いてくれるかもしれない)と僅かな希望を胸に訪れてはみたが、店主が蝶ネクタイに紫…

クリストファー

『最近友人たちの反応が、やけによそよそしい感じがする。まるで俺と初めて出会ったかのように接してくるんだ。ひどく悲しい。やっぱり僕の理解者は君だけだよアリス。』『アリス、もう寝ちゃったかい?もし起きてるなら電話してもいいかな?』『薬をまた、…

少年と画家の男

男は嘆いていた。この世界は美しくない。四方八方、コンクリートや鉄の塊だらけ。申し訳程度に添えられた植物たちは人工物。こんな偽物に俺は騙されない。 男は怒っていた。仕事は殆ど機械化され、脳にチップが埋め込まれた我々に学びは不要。今人類は何をな…

木星フレア

「お兄ちゃん、何をみてるの?」 後ろから低い声の女性が話しかけてきた。 「やあキャシー。惑星を観ていたんだ、この時期しか観測できないんだ。ほらあそこ」 兄であるランシターが指す先には、他の恒星たちとならんで光る小さな点があった。 「アレが惑星…

消毒

「はっくしゅんっ」 渡辺次郎のくしゃみにクラス一同が注目する。次郎は鼻をかんだあと、それに気づいて口を開いた。 「な、なんだよ皆、青ざめた顔して」 「先生、今次郎くんが...」 「ええ、見ていたわ...」 そして先生が全ての教室の教卓に備え付けられて…

色んな仕事

天候は良好。気温もそう高くなく、気持ちの良い風が吹き抜けていた。今日は釣り日和だ。釣りの道具とクーラーボックスを両手に山を少し登った所にある川へとやってきた。仕事に追われる毎日を忘れるにはこの喉かな自然の中誰にも会わずに有給休暇を楽しむの…

時計

僕の名前は田仲太郎、小学生だ。 ある日お婆ちゃんからもらった昔の時計を弄くっていたら魔神がでてきた。 「君の願いを叶えてやろう。ただし対価として時間を頂く。」 願いを叶えてくれる。そう聞いて僕は少し迷ってから願いを言った。 「同じクラスの○○ち…

伏線の多い料理店

こんばんわ、“伏線の多い料理店”へようこそ。この店は山道を抜けた山の中腹ほどの位置にあり、さらに営業時間も朝の五時から一時間ほどしかやっておらず、伝説の名店と呼ばれております。味はもちろんのこと、この店の特色ともいえるのがなんといっても“伏線…

多重人格少年

記者と名乗るものが少年に話しかける。 「貴方がこの地区で有名な“多重人格少年”の太郎くんですね?私、記者の渡邉と申します。よろしく」 「はい」 その様子を野次馬たちは遠目でみていた。渡邉は気にも止めずに質問を続ける。 「現在、いくつの人格を持っ…